大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 昭和59年(行コ)3号 判決

控訴人(原告、選定当事者) 納谷興平

補助参加人 有限会社ハニーハウス

被控訴人(被告) 北見税務署長 札幌国税局長

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

当審における訴訟費用のうち、参加によつて生じた部分は補助参加人の負担とし、その余は控訴人の負担とする。

事実

一  控訴人は、控訴の趣旨として、「一 原判決を取り消す。二(主位的請求)1 被控訴人北見税務署長(以下「被控訴人署長」という。)が控訴人及びその余の選定者ら(以下「控訴人ら」と総称する。)の被相続人納分大次郎(以下「大次郎」という。)に対して、昭和四七年二月一〇日付でなした同人の昭和四五年分所得税の総所得金額を一、二一三万六、六二三円とする更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税二三万三、一〇〇円の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)(ただし、いずれの処分についても昭和五二年八月三日付裁決による一部取消し後のもの、以下同じ。)を取り消す。2(一) 被控訴人札幌国税局長(以下「被控訴人局長」という。)が(1) 昭和四七年四月二一日に昭和四六年四月二一日付差押公示書をもつて原判決添付物件目録一記載の各動産(以下「本件動産」という。)を差し押さえた処分(2)昭和四七年四月二〇日付で大次郎の控訴人補助参加人有限会社ハニーハウス(以下「補助参加人会社」という。)に対する原判決添付物件目録二記載の不動産(以下「本件不動産」という。)の売却残代金債権三一万二、七八〇円を差し押さえた処分(3) 昭和四七年四月二四日付で大次郎の補助参加人会社に対する出資持分八〇万円を差し押さえた処分をいずれも取り消す。(二) 被控訴人局長が(1) 国を債権者とし、補助参加人会社を債務者として、昭和四七年一一月二八日付で、釧路地方裁判所北見支部に対し、本件不動産につき処分禁止の仮処分(同支部同年(ヨ)第二一号)を申請した行為(2) 国を原告とし、補助参加人会社を被告とし、昭和五〇年二月三日付で、釧路地方裁判所北見支部に対し、本件不動産につき所有権移転登記抹消登記手続請求の訴え(同支部同年(ワ)第八号)を提起した行為をいずれも取り消す。(第二位的請求)1 被控訴人署長が大次郎に対してなした本件更正処分及び賦課決定処分が無効であることを確認する。2(一) 被控訴人局長がなした主位的請求2の(一)記載の各処分がいずれも無効であることを確認する。(二) 被控訴人局長がなした主位的請求2の(二)記載の各行為がいずれも無効であることを確認する。(第三位的請求)1 控訴人と被控訴人らとの間で、被控訴人署長が大次郎に対してなした本件更正処分及び賦課決定処分に基づく控訴人らの租税債務のうち九九万六、七七〇円を超える部分は不存在であることを確認する。2(一) 被控訴人署長は大次郎の昭和四六年分所得税の総所得金額を純損失三五四万五、七三一円とする減額更正処分をせよ。(二) 被控訴人局長は大次郎の右昭和四六年分所得税の総所得金額の純損失額三五四万五、七三一円を所得税法一四〇条の規定により繰り戻した場合に還付される所得税の額に相当する一五六万六、三〇〇円を大次郎の昭和四五年分所得税の未納税額に充当せよ。3 控訴人と被控訴人らとの間で、被控訴人署長が大次郎に対してなした本件更正処分及び賦課決定処分に基づく租税債務のうち九九万六、七七〇円を超える部分は控訴人らに納付責任がないことを確認する。三訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らは、「本件控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

二  当事者双方の主張及び証拠の関係は、主張につき、次のとおり付加、訂正し、証拠につき、当審における書証目録及び証人等目録の記載を引用するほかは、原判決の事実摘示と同一であるからこれを引用する。

1  原判決二六枚目裏上段四行目、同二七枚目裏上段九、一〇行目、同二八枚目裏上段末行、同五六枚目裏下段一〇行目の「さらに」を「更に」に改める。

2  同二八枚目表上段四、五行目の「差し押さえた」の次に「(なお、国は、別件訴訟において、控訴人が本件において主張のとおり昭和四七年四月二一日右差押えをした旨主張しているので、本件において、差押えの年月日につき、右年月日のとおり自白が成立した。)」を加える。

3  同三七枚目表上段五行目、同四〇枚目裏上段九行目、同七一枚目裏下段七行目の「かかる」を「係る」に改める。

4  同四七枚目表上段九行目、同六一枚目裏下段末行、同六六枚目裏上段二行目の「あたつて」を「当たつて」に改める。

5  同五一枚目裏上段九行目の「つくる」を「作る」に改める。

6  同五七枚目裏上段六行目の「あたつていた」を「当たつていた」に改める。

7  同六二枚目裏上段六行目、同一〇行目の「但書」を「ただし書」に改める。

8  同七二枚目表下段一〇行目の「あたり」を「当たり」に改める。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求に対する原判決の認定・判断を正当とするものであつて、その理由は、次のとおり訂正・削除するほかは、原判決の理由説示と同一であるからこれを引用する。

1  原判決二枚目裏八行目の「訴訟であるから、」の次に「少なくとも、本件のように、同一の違法事由に基づき、」を加える。

2  同三枚目表四、五行目を「三 そこで、主位的請求1について判断する。」に改める。

3  同三枚目裏五行目の「第二〇号証」を「第二二号証」に改める。

4  同三枚目裏末行の「同山吹智司」の次に「、同藤原繁治、同大石清重、同小島信夫、同羽賀新一郎」を、同行目の「原告本人尋問の結果」の次に「(原・当審)」を加える。

5  同三枚目裏末行から同四枚目表一行目の「(ただし、後記措信しない部分を除く。)」を削る。

6  同四枚目裏四、五行目の「当てる」を「充てる」に改める。

7  同八枚目裏八行目、同一〇枚目裏三行目、同一七枚目表一行目の「さらに」を「更に」に改める。

8  同九枚目裏二行目の「認められ、」の次に「甲第五八ないし第九二号証、」を、同行目の「二〇号証」の次に「、証人藤原繁治、同大石清重、同小島信夫、同羽賀新一郎の各証言」を、同行目の「原告本人尋問の結果」の次に「(原・当審)」を加える。

9  同一〇枚目裏三、四行目の「あたつては」を「当たつては」に改める。

10  同一二枚目裏三行目の「昭和四七年四月二一日に」を削る。

11  同一三枚目裏九行目の「同月二〇日であつた」の次に、「(なお、控訴人は、国が別件訴訟において、控訴人が本件において主張のとおり昭和四七年四月二一日に右差押えがなされた旨主張しているので、差押えの年月日につき右年月日のとおり自白が成立した旨主張するが、国の別件訴訟における陳述によつて本件において自白が成立するものでないことは多言を要しない。)」を加える。

12  同一四枚目裏一行目の「あたる」を「当たる」に改める。

13  同一六枚目裏二行目の「通り」を「とおり」に改める。

14  同一六枚目裏五行目、同九行目、同一七枚目表一行目の「かかる」を「係る」に改める。

15  同一七枚目裏八行目の「権利関係」を「権利義務」に改める。

16  同一八枚目表一〇行目末尾に「なお、右の第三位的請求2の(二)の被控訴人局長に対し充当処分を求める部分につき、仮に、右充当処分を行政処分でないと解したとしても、右は、充当という作為を求める民事訴訟(給付訴訟)というべきであるから、右権利義務の帰属主体でない被控訴人局長は右請求につき当事者能力を有しないので、いずれにしても、右請求は不適法な訴えとなるといわざるを得ない。」を加える。

二  よつて、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九四条、九五条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 奈良次郎 柳田幸三 中路義彦)

選定者目録〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例